森林浴とは、シンプルに森の中でゆっくり歩いたり、ゆったりとした時間を過ごすこと。例えば、日光浴は太陽の下で、海水浴は海で楽しい時間を過ごすように、森林浴も森の中で心地よい時間を過ごす、ということになります。
また、森林浴をすることで人と森・自然の同調(シンクロ状態)によるここちよい感覚と健康効果が期待されると言われています。
古来から、私たちは森の中で時間を過ごしたり愛でることはしてきました。
ただ、ストレス社会に突入した1980年代前半、当時の林野庁長官が、ストレスに対する処方箋・予防策の一つとして、はじめて「森林浴」という言葉が使われたことがきっかけで、その後「森林浴」が定着していきました。
森に入ると、とても清々しい気持ちになるのは、これまで私たちの多くが感じてきましたが、1990年代に入り、世界でも先駆けて森林浴を医学、生理学、心理学などの科学的な手法を用い実験研究が行われ、森や自然の中に入りゆっくりする時間を過ごす森林浴は心と身体の健康効果があると実証されたのです。
その後、「Shinrin-yoku」として世界共通語になりましたが、ニューノーマルな時代に突入した今、国際的にもこれまで以上に注目されるようになってきています。
森林セラピー森林セラピーの効果と医学的根拠
「森林セラピー」とは、科学的、医学的に実証された効果的な森林浴のことで、心と身体の健康維持、および疾病予防などに活かす取り組みのことです(森林セラピーソサエティHPより)。
これまで日本は、90年代より世界に先駆けて森林医学研究を進めてきました。
そして、世界初の実験の対象地になったのが、なんと屋久島の屋久杉の森だったのです。
今では、以下のような様々な健康面での森林浴・セラピーの効果が科学的エビデンスとして実証されていて、しかもその効果が1ヶ月以上持続することもわかってきています。
【健康面の効果】 ● ストレスホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾール)の低下血圧 ● 脈拍の安定自律神経を整える(副交感神経優位) ● 免疫力アップ ● 森林率とがん死亡率の関係(森林率が高いとがん死亡率が低くなる) ● うつ状態の改善安眠効果など |
これまで、森林浴をすることでどのような健康効果が実証されてきたのでしょうか。いくつか代表的な効果を挙げておきます。
しかも、これらの効果は1ヶ月以上持続すると言われています。なので、定期的に森や自然に入ることが私たちの健康向上のカギを握っているのです。
文献(一部紹介):
B.J. Park, Y. Miyazaki et al. The physiological effects of shinrin-yoku: evidence from field experiments in 24 forests across Japan. Environmental Health and Preventive Medicine 15 (1) 18-26, 2010
H. Ochiai, Y. Miyazaki et al. Physiologial and psychologial effects of forest therapy on middle-aged males with high-normal blood pressure. Int J Environ Res Public Health 12 2532-2542, 2015
Li Q. et al. Forest bathing enhances human natural killer activity and expression of anti-cancer proteins.Int J Immunopathol Pharmacol. 20(2 Suppl 2):3-8, 2007
Li Q. et al. Visiting a forest, but not a city, increases human natural killer activity and expression of anti-cancer proteins. Int J Immunopathol Pharmacol. 2008 Jan-Mar;21(1):117-27