カレイドフォレスト_コンセプトブック
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9「自然界の大きな流れと自分と 赤ちゃんはつながっている」る現実を見ました。一緒に働いていたザンビア人の同僚が子どもを三人亡くして、やっと四人目ができたと喜んでいたのも束の間、一歳ちょっとで亡くなったことがあって。お葬式に行くと、それまでに見たこともない小さな棺桶が置いてあって、涙が止まらなかった。私がここで仕事をしている限り、こんな小さな棺桶は二度と見たくない。その思いを胸に秘めて頑張ってきた気がします。アフリカでは簡単に命が失われる現実がある。そのことを目の当たりにしてたからこそ、「人が健康に生きる」ことへの希求が強いのかもしれません。同時にアフリカは、経済的には恵まれていませんが、底知れないパワーを秘めた人々がたくさんいます。みんな明るくて強くて生きる力もあって。女性は体力とユーモアがあるし、どんどん子どもを産んでみんなで育てている。時折、日本に帰ってくると疲れている人が多いなと感じました。アフリカ人の生命力は、現代の日本にすごく必要なものじゃないかなと思います。それって、自然に近い生き方ということでもあるんだと気付きました。アフリカでは「人と人」をつなぐことをしてきましたが、今度は「人と自然」をつなぐ、そんな使命を持って仕事をしています。その時思ったんです。ああ自然界の大きな流れと、地球と自分と赤ちゃんはぜーんぶつながっているんだなって。身体を通してそう感じました。女性は生まれながらにして、身体が自然と連動しています。初潮があって好きな人ができて結婚して妊娠して、閉経して介護があって。ライフステージごとに身体が変わっていく。それが生き方を変えるチャンスにもなるし、自然とつながる潜在力をもっていると思います。人生において、経験してきた中には無駄なことは一つもなくて、すべてがその人を形づくっている。誰にでも、その人のしてきた体験、すでにもっている宝物のようなピースがあります。私の子どもの頃の体験も、国際開発の仕事も、自然分娩で子どもを産んだことも全ぼう榜ひょう私自身、二人の子どもを自然分娩を標する助産院の畳の上で産みました。この経験が、いま屋久島で行っていることとつながっている気がするんです。子どもがお腹にいる間、お母さんは自然と一体化しているようなもので、私自身も内側からすごいパワーが湧き出てくるのを感じました。部自分の一部で、すべてが一つになったとき万華鏡のような綺麗な模様に見えたりするんじゃないかなと。森に寝転がって空を見上げると、木々が陽の光をあびて輝いています。森羅万象が生み出すこの「森の万華鏡」のような美しさを、きっと誰もが内に秘めている。森とのつながりを取り戻すことで、一人ひとりが自分の内に本来持っている輝きに出会うお手伝いをしたい。だから「カレイドフォレスト=森の万華鏡」という社名に決めたのです。普段暮らしていると、あれも足りないこれも足りないとみんな思いがちです。でもすでにあなたはすべてをもっているんですよと言いたい。とくに自分の身体を通して命を生み出すことはどれほど尊いことでしょうか。もともと人は地球とつながって生きていて、自然のサイクルを体内にもっています。森でそのことを思い出すと、ありのままでいいんだなと思うようになる人が多いと感じます。森はその人にとって一番安心安全な場所、子宮のような場所でもあるのです。

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